EDITORS EYE

2021.08.27

vol.3 LEATHER PANTS

エディターの視点でリップヴァンウィンクルの魅力を伝える連載の第3回は、秋冬コレクションの注目アイテム、レザージャージーパンツをピックアップ。生産を託す工場のレポートも交えて紹介しよう。
SOLID LEATHER JERSEY
ヨーロッパのアルチザン系レザーに触発されて、日本でもモードなレザーアイテムをいち早く提案したリップヴァンウィンクル。デザイナー大野雅央もブランドの看板アイテムとして大事にしている。今シーズンはアウターだけでなくパンツを展開。新作のブラウンレザーパンツにフォーカスして、そのもの作りの背景を紹介したい。ちなみに、ブラウンカラーを展開するのも久しぶりということで、初期を彷彿とさせるマスターピースに仕上がった。
日本で職人によってつくられるアルチザンな自信作

DETAIL

リップヴァンウィンクルのレザーアイテムは国内で生産されている。厚木にて日本の名だたるブランドやバイカーブランドのレザーウエアを手がける「クリエイティブクラン」が、現在の工場だ。「クランとは、もう18年ほどのお付き合いになります。細かく打ち合わせができるし、製品のチェックなどもしたいので、国内生産にこだわっています」(大野)。生産現場は裁断と縫製の2カ所に分かれ、倉庫を改装した大きな建物ではレザーのカッティングが行われている。内外から集められた高級皮革が、壁面にぎっしりと収納されている様は圧巻だ。作業台は3つあり、それぞれ担当者が黙々と仕事をする。
リップヴァンウィンクルの製作を担当するのはプロダクトコントロールマネージャーの池永太英(いけながたかひで)さん。「ホースやカウなど大判のレザーは1枚で、すべてのパーツが取れるように計算して裁断します。リップヴァンウィンクルの製品はパーツが多いので、1本分をカットするのに1時間ほどかかります」(池永)。革の裁断の仕事は布と違って厚みがあり、また傷など個体差があるので、1枚ずつ作業をしなればならない。高い技術と根気のいる専門職だ。「傷をチェックしたり革の伸びる方向など、特性を考えながらカットします。今回、リップヴァンウィンクルが使っているポーランド産の馬革は、やわらかくて体によくなじむ高級革です」(池永)
革のサンプルがある裁断工場で打ち合わせも行う。「作りたい製品のデザイン画をもとに、池永さんに革や加工を提案してもらいます。いつもイメージ通りに仕上がってくるので、とても信頼しています」(大野)。今回のレザーパンツは、縫製の後に洗いをかけて染色し、ドラム(太鼓形回転容器)で再度オイルを加えたディープオイル仕様。「縫製の後の加工で表情が変わってくるので、加工はとても重要。料理と同じでレシピがいろいろあって、最適だと思うものを提案します。レザーのサンプルを見ながら打ち合わせするうちに、アイデアが広がっていくことも多いです」(池永)。加工はクランのレシピ通りに仕上げてくれる、海外の工場に依頼することもあるそうだ。
ソリッドレザージャージーというアイテム名の通り、レザーながらウエストはゴムとドローコードのイージー仕様。裾にはコンシールファスナーが付き、ブーツなども履きやすい。「ブラウンで作ったのは今シーズン、アースカラーが気分で、トップスでいろいろ展開しているカーキとも相性がいいからなんです」(大野)。黒のフルジップフーディにタイプライタークロスのベストを重ね、レザーパンツをコーディネートした。布帛やジャージーで展開されていたセミサルエルシルエットだから、久しぶりに革のパンツを穿いたという大野も違和感がないと言う。レザージャージーはインパクトもあり、トップスを新しくする以上に鮮度がアップできる。
足元はトリプルレザー×コーデュラナイロンのローカットスニーカー。「ハイカットはありましたが、ローカットのスニーカーは久々の展開。ボリュームや素材使い、配色も含めて革パンに合うスニーカーとしてデザインしました」(大野)。ウエアでも差し色に使われているマスタードやパープルが、アースカラーをモダンに見せる。このパンツはサイドからフロントにカーブした切り替えが入り、リップヴァンウィンクルではお馴染みのオーバーロックステッチ(緩いステッチが浮き上がる)が効いている。この独特のステッチについては、また次回、取り上げるのでお楽しみに。

EDITORS PROFILE

Hisami Kotakemori

小竹森久美。1980年代からファッション雑誌でエディター、ライターとして企画、執筆に携わる。渋カジや裏原宿ムーブメントをリアルタイムで取材した経験を活かし、現在はウェブメディアも手がける。ファッションやカルチャー、インタビュー記事などを中心に今も現場主義で仕事に向き合う。

ONLINE STORE