EDITORS EYE

2021.11.11

vol.5 MILITARY GREEN

エディターの視点でリップヴァンウィンクルの魅力を伝える連載の第5回は、レザーと並んでブランドの根底にあるミリタリーについて。デザインはもちろん、着ているだけでその雰囲気をまとえるミリタリーグリーンに焦点を当てる。
MA-1 & BUSTER BOA JERSEY
ミリタリーはメンズモードを構成する重要な要素だ。そのユニフォームに使われるカーキグリーンやオリーブグリーンは“ミリタリーグリーン”と総称されることも多く、機能的なデザインとともに人々を魅了している。リップヴァンウィンクルでも定番的にMA-1などミリタリー系のアイテムをこの色で展開。「ブランド初期から毎回、何かしらラインナップしています。若い頃はファッションシーンにミリタリーが当たり前のようにあって、僕も古着でいろいろな軍モノを着てきました。王道のアメリカだけでなくフランスやスウェーデンの軍モノも好きでしたね」とデザイナー大野雅央が語る通り、リップヴァンウィンクルのミリタリーにはどこかヨーロピアンなムードが漂う。
ミリタリー系アイテムをこだわりの素材で大人顔に

DETAIL

定番的に展開されているMA-1は今シーズン、春夏に登場した0番ステッチ(極太糸を使う縫製)のノーカラースタイルを踏襲し、軽く中綿を入れて秋冬仕様に。好きな位置でファスナーが閉じられるデザインはインナーとのバランスがとりやすくフーディやタートルネック、あるいはネックウォーマーやストールなど小物で首回りにボリュームを持たせるコーディネートにも合わせやすい。ナイロン素材ではなく、高密度に織り上げるコットン×ポリエステルのタイプライタークロスを採用して、大人っぽい表情に仕上げているのもリップヴァンウィンクルの技だ。コットンの風合いに合わせたカーキグリーンが、ヴィンテージのボマージャケットのような雰囲気を醸し出す。
マルチステッチの風防や袖の3本ラインもヴィンテージミリタリーに見られるディテール。「製品になった後で洗い加工をすることで、パッカリング(縫い目にできるシワ)が生まれ、0番ステッチが生きてくるんですよね」(大野)。アウター類はレザーアイテムと同様にウォッシュ加工が施され、最初に袖を通した瞬間からずっと愛用していたような“なじむ感覚”を味わうことができるのも大きな魅力だ。このタイプライタークロスは速乾性があり、落ち感がよくシワになりにくいイージーケアという点も優秀。ライナーは同色カーキのライナーでモダンなワントーンのルックスに。両サイドに内ポケットを備えているのも使い勝手がいい。
ミリタリーではライナーなどでお馴染みのボア素材。オリーブグリーンのボアジャケットは、ブラックのパッチやポケットをあしらったアウトドア調のハイブリッドデザイン。「イタリア製の上質な新素材を使った久々のボアアイテム。ふっくらとしていてウール混だからとても暖かく、これ一枚でアウターとしても申し分ありません。セットアップでも着られるようにショーツも展開しています」(大野)。パッチにはストレッチのタイプライタークロスを採用し、袖口はひと目でリップヴァンウィンクルとわかるハーフリブのデザイン。肉厚ながらとても軽く、室内で着てもストレスがない。フリースとは違う高級感があり、そのまま外出しても洒落て見えるのが嬉しい。
脱ぎ着がスムーズにできるように前身頃の裏面にはパンチングメッシュ生地があしらわれ、肘裏の補強パッチはネック裏の飾りパッチとともに後ろ姿にもアクセントを添えてくれる。真冬はコートのインナーにして、フロントファスナーを襟元まで閉じれば極寒の日も寒さ知らず。このジャケットは静電防止加工が施されているので、秋冬シーズンを通して快適に着られる。さり気なく機能性を盛り込んでいるところも、リップヴァンウィンクルらしい。独特のシルエットやフォルムに加え、素材の選び方や仕上げ、ディテールなど細かい部分までこだわり抜き、デザイナー大野雅央は職人気質な“愛のある”ものづくりを続けている。

EDITORS PROFILE

Hisami Kotakemori

小竹森久美。1980年代からファッション雑誌でエディター、ライターとして企画、執筆に携わる。渋カジや裏原宿ムーブメントをリアルタイムで取材した経験を活かし、現在はウェブメディアも手がける。ファッションやカルチャー、インタビュー記事などを中心に今も現場主義で仕事に向き合う。

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