EDITORS EYE

2021.12.01

vol.6 TACTICAL BLACK

エディターの視点でリップヴァンウィンクルの魅力を伝える連載の第6回。“戦術的な“という意味を持つタクティカルは軍用の最新装備に使われる言葉。そこで今回はミリタリー的な要素を黒で展開する機能アイテムを解説。
SPY HOODIE&TACTICAL VEST+CHESTER COAT
ミリタリーというとMA-1やM-65のような軍用としてはレトロなものをイメージするが、タクティカルは最新の機能アイテムに冠されるモダンなミリタリー。軽量性や防水・防風性などアウトドアウエアに通じるスペックを備えた機能素材も多い。リップヴァンウィンクが20年近く手掛けているBJテックのアウターは、まさにタクティカルシリーズの根幹。”タクティカル“と冠したベストも、収納性に特化している点で同様だ。「ミリタリーの機能とファッションの融合は1980年代に注目されたストーンアイランドが早かったんですが、リップヴァンウィンクルでも初期から取り組んでいます」の言葉通り、デザイナー大野雅央はミリタリーとタクティカルを同等に考えてきた。
機能的なアイテムを洗練するブラックの魅力

DETAIL

心待ちにしている人も多いBJテックシリーズの新型はスパイフーディ。口元まで隠れるようなハイネックが名称の由来。軽量で保温性抜群の3Mシンサレートを中綿に入れ、製品後にテフロン撥水加工を施して雨や雪などでも臆せず着られる一着に。切り替えでもわかる通り独特のパターンメイキングが、すっきりしたシルエットながらリラックス感のある着心地を実現している。ふっくらとした生地のふくらみがあり、着た瞬間からなじむリップヴァンウィンクルならではのアウターだ。袖にユーティリティポケットがあるだけの削ぎ落されたデザインは合わせる服を選ばず、ダブルファスナー仕様でフロントの空き具合を調整することで様々な表情が楽しめる。
BJテックは初期から大手繊維メーカー、小松マテーレと取り組んでいる。「縫製から染めまで小松マテーレで行うので、レザーと同じような感覚で進行しています。毎年素材やプロセスが変わるので仕上がりも違って、予想がつかないところが面白い。今年はスポーティに振りやすいようネックを高く、デザインはシンプルにしました」(大野)。小松マテーレが手がける製品の中でも製造や加工が難しく、生産の過程でリスクを伴うが、リップヴァンウィンクルの名品として大野もやりがいを感じている。メッシュ総裏地や裾のスピンドルコードなど、着心地や使い勝手にもこだわりが。機能とモードなルックスを両立するアイテムとして、毎年購入するファンがついているのも納得だ。
フロントの複数のポケットに加え背中にも大きなファスナーポケットを備えたタクティカルベストは、大野のお気に入りアイテム。「ベストは好きで、毎回つくっています。今季はハリの強いタイプライターのストレッチ生地で、背中にはカンガルーポケットを設け、バッグ代わりに使えるようなアイテムにしました」(大野)。肩とフロントはウェビングベルトで、サイズ調整できるところもどこかバッグ的だ。背面のアクションプリーツがマチのような役目も担う。実際、背中にiPadを入れて通勤するというリップヴァンウィンクルのスタッフもいる。
秋冬シーズン、大野が提案するのはアウターとのレイヤード。「ヴィンテージメルトンのチェスターコートに重ねると、旬のミリタリーテイストが添えられます。僕は革ジャンの上によく合わせていて、春夏はカットソーに羽織って手ぶらで動いています。本当に便利だから、もっとベストを着てほしい」(大野)。タクティカルベストトは1年を通して着られて、コーディネートの幅を広げてくれる最強アイテム。シンプルな着こなしのモダンなアクセトとしても、冬は多いに活用したい。ちなみにこのベストに使われているピマコットンは希少で高級な超長綿。上質な素材だからこそストリートやアウトドアブランドとは一線を画す“大人のテックウエア”になっているのだ。

EDITORS PROFILE

Hisami Kotakemori

小竹森久美。1980年代からファッション雑誌でエディター、ライターとして企画、執筆に携わる。渋カジや裏原宿ムーブメントをリアルタイムで取材した経験を活かし、現在はウェブメディアも手がける。ファッションやカルチャー、インタビュー記事などを中心に今も現場主義で仕事に向き合う。

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